J2第10節・ファジアーノ岡山vギラヴァンツ北九州

今季からJ2に昇格したギラヴァンツ北九州相手に後半30分過ぎに退場者を出し、かろうじて地元で0-0の引き分けに持ち込むのが精一杯というのが、現在のファジアーノ岡山の実力というものだ。日本サッカー界全体の抱える問題ともいえるのだが、なぜかここの国では地元で強いチームが少ない。遠征先へ移動する手間もないし、スタンドには味方になってくれるサポーターが集結している。にもかかわらず、なぜかホームで実力と同じかそれ以上の力を発揮できないチームが多い。隣町と張り合いながら発展し、都市国家を基盤とした土着主義に根ざしたヨーロッパのサッカーとは異なり、中央集権国家ではホームとビジターの違いが判然としない影響なのだろうか。

今シーズンからJ2に昇格したギラヴァンツには、それなりに注目していた。事前のリサーチどおり、フォーメーションは4-4-2(マッチデープログラムには違う組織図が描かれていたが)。しかしファジアーノと同様、ギラヴァンツには効果的なサイドチェンジもなければ、サイドバックの攻撃参加もない。前方に広大なスペースがあるのに、無駄な手数をかける分だけ、どうしても攻撃がワンテンポ遅れる。根本的に抱える問題は、ファジアーノもギラヴァンツも同じなのだと思わされた。

そもそも拡大を急いだJ2では、上位チームと下位チームとの間の力量差が大きすぎる。ファジアーノのような弱小チームがJ1から降格してきたチームと試合をするときは、地元でも敵地でも引いて守ってカウンター狙い。それしか攻め手がないのだから、あれこれ指示しなくてもチームとしてまとまりやすいといえる。しかし同程度の力量のチームが相手だと、どのようにして敵陣ゴールまでボールを運ぶのかというその手法すら判然としなくなる。結局点が入るのは、偶発的な相手の失策に援助されたときか、相手が消耗して守備がお留守になったときだけ。普段からどんな練習をしているのだろうと考えさせられてしまう。

今では海外のサッカーを映像でも現場でも簡単に見ることのできる時代になったが、バルセロナやアーセナルのような攻撃哲学に基づいて展開されるサッカーを現場で一度でも見て知ってしまうと、ファジアーノのやっていることが同じ競技とは思えなくなる。昨年から言い続けているが、まずはどのようにして相手ゴール前へと至るのか、試合でその道筋をはっきりと示すことができるようになってほしいと思う。もしそうであれば、シュートがゴールに決まらなくても文句を言うつもりは毛頭ない。しかし現状のファジアーノがやっていることは、15ドルもの大金を取って見せるほどのものではない。

観衆に対しても言いたいことは山積している。後半になってファジアーノは3人の選手交代をしたが、そのあとでDFがこの日2度目の警告で退場になった。もう選手交代はできないのだから、判断能力のある人間なら一度警告を受けたら際どいプレーは避けるものだ。にもかかわらず2枚目のイエローをもらって退場処分になった選手に対して、スタンドからはよくやった風の拍手が起こっていた。明らかにほかの選手の足を引っ張っておきながら、退場になった選手にブーイングのひとつもないことには違和感を禁じえない。これとは別の場面で、あからさまなDFの失策で相手FWにボールを与えておきながら、相手FWがシュートを外すと拍手して喜んでいる観衆を見ていると、この人たちはサッカーの本質をわきまえているのかと疑ってしまうし、こんな観衆に囲まれてプレーしている選手が不憫にすら思えてくる。

ファジアーノ岡山は、3年計画で昇格争いのできるチームになることを目標に掲げているらしい。しかしそれ以前に、この状態でサッカーが根付くのかと勘ぐってしまう。かりに観衆が集まるようになったとしても、間違った根付き方をしたら目の肥えたサッカーファンはファジアーノの試合を好きこのんで見に来ないように思えるし、いつまでたってもチームは強くならないだろう。いずれにしても、ふつう草サッカーでもDFがミスして相手にボールを与えたら、ベンチから怒鳴られるのが当たり前だろうに・・・。

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by akira-takeuchi | 2010-05-03 23:40 | サッカー
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