W杯南アフリカ大会・決勝戦はオランダvスペインの組み合わせに

W杯南ア大会の決勝戦の組み合わせがオランダvスペインに決まり、あと数時間でキックオフされる。ともに初優勝をかけた試合となるわけで、新たなサッカーの歴史が作られることになったことをうれしく思う。さらに言うと、これまで欧州のチームは欧州開催の大会でしか優勝したことがない。欧州外で開催される大会で欧州のチームが優勝するのは、W杯の歴史において歴史的なことだと思う。大会前の私の予想では決勝戦はブラジルvドイツの組み合わせだったが、この2つのサッカー大国を破ったオランダとスペインが決勝戦で激突するのだから、私の見る目がなかったということだし、オランダとスペインがこの2国をサッカーの要素において上回ったということなのだろう。

ただ、美しいサッカーを展開するわりに気ままで自由奔放な国民性が災いしてか、これまでどこか勝負強さに欠けるこの両国の対戦となったのは、ちょっと意外な気もする。そもそも近年チャンピオンズリーグの隆盛とともに、欧州ではナショナルチームの意義が薄れてきていると思うから、ゲルマン魂とかライオンハートなどというファイティングスピリットが勝負の要素とはなりえなくなったのだろう。その結果ドイツやイングランドは、敗れた試合ではさしたるインパクトも残さないまま、あっさりと帰国を余儀なくされた印象だった。さらにフランスなど一部のチームでは内紛が勃発していたようだが、W杯に出場することが選手にとってさしたる価値を持たない時代になったと思わされる象徴的な出来事だったといえる。生きるか死ぬかといった類のぎりぎりの勝負ではなくなった現代のW杯において、美しいが勝てないオランダと勝負弱さが伝統のスペインが勝ち残ったのは、ある意味においてサッカー界の変遷を反映していると思うし、これから先のW杯があるべき姿を投影しているのかもしれない。

その決勝戦であるが、スペインに一日の長があると考える向きが多いようだ。たしかに準決勝のドイツ戦でも、スペインにボールが渡るとそう簡単に奪い取られることはないように感じた。ドイツ守備陣はスペインのボール回しを追いかけて走らされ、完全に消耗してしまった。同じことが決勝戦でも可能であれば、オランダも消耗し尽くしてしまうだろう。しかし個人的な経験から感じることだが、この決勝戦という代物は、それまでに出来ていたはずのことが出来なくなる性質の試合だ。チャンピオンズリーグや国内リーグでプレッシャーのかかる試合を数多く経験しているスペイン代表の選手といえども、このW杯の決勝戦でもこれまでの試合と同様にプレーできるかどうか、彼らの真価が問われるといえるだろう。

オランダはトータルフットボールを世に広めた国ではあるが、今大会はちょっと印象が異なる。全員で美しくプレーするというよりも、守備から入るチームに方向転換した節が感じられる。守備を固めておいて、奪ったボールをすばやく前線に展開してスナイデルやロッベンの個人技に任せるスタイルは、イタリアのような印象すら受ける。それほど中盤がないという点では、ドイツのようにも思える。となるとオランダは、前線の選手が守備に追われることなく攻撃にからむことが重要だ。スナイデルやロッベンが守備に追われるようだとスペインが有利になるだろうし、この2人の選手が個人技で突破をくりかえすならオランダが有利に試合を運ぶことだろう。

個人的な印象としては、どちらのチームが勝っても心から喜ぶことができる組み合わせだ。なぜなら、欧州の国どうしが初優勝をかけて決勝戦を戦うのだから。オランダもスペインも過去に何度も訪れたことのあるヨーロッパの国だし、いい思い出ばかりが脳裏に刻まれている。どちらの国が勝ってもおめでとうと言えるし、この決勝戦の組み合わせに今から乾杯したい心境だ。勝負の神様は1チームの勝者しか認めれくれないが、今日ばかりはこの神様を呪ってしまいたい。
[PR]
by akira-takeuchi | 2010-07-12 00:36 | サッカー
<< W杯南アフリカ大会・スペインの... セリーグ公式戦・阪神v東京ヤク... >>