W杯南アフリカ大会・日本代表に思うこと

今年の日本のサッカーシーンも、残すところ天皇杯の決勝戦(厳密には来年だが)だけとなった。仕事が激増して頭髪の本数が激減した一年だったが、今年のW杯を今さらながら振り返ってみたい。優勝したのはスペイン。スペイン語を話す私としてはうれしい結果である。ボールを保持して攻撃を続けるサッカーでEURO2008に続いてW杯も制覇したことは、世界のサッカーにとってよいことなのだろう。そうはいってもスペイン代表って、FCバルセロナのコピーともいえるのだろうが(笑)。スペインとオランダのファイナリストのほかでは、チリやドイツなど攻撃を主体としたチームが目立っていたような印象が残る。これは冬に時期にさしかかる南半球で開催された影響もあるのだろう。

しかし冷静に思い返してみると、代表チームの存在意義が崩れかかっている大会だったともいえる。そもそも普段は違うクラブでプレーしている選手を寄せ集めただけの代表チームで、スペクタクルな試合を展開することなど到底無理な話。現実的には、代表チームよりもクラブチームの展開するサッカー(欧州CLなど)のほうが、クオリティが秀でていることはすでに証明されているわけだし。クラブチームから多額の報酬を得ている選手が多い現代サッカー界において、代表チームでも同じ情熱を傾けてプレーできようはずがないだろう。10年ほど前までは代表チームには相応のステータスというものがあり、W杯をはじめとする代表の試合では熱くなるものを醸し出していたし、見る側も感じていたものだ。しかしながら、W杯は戦争だとか勝つことがすべてとか言っていたのは一昔前の話。長いシーズンで疲弊した選手たちの多くはW杯を片手間としか考えておらず、フランス代表やカメルーン代表の面々はとっととバカンスに旅立ちたかったに違いあるまい。FIFAが主催するW杯という大会の価値が徐々に落ち始めていることを感じる。

そしてわが国ニッポン。大会前に掲げた目標はベスト4、大会直前に大幅な戦術変更をおこない、恥も外聞もなく4-6-0のフォーメーションで専守防衛のサッカーを展開。披露したサッカーは世界大会でのテレビ中継にすら値しない代物だったが(当然私はほとんど見ていない)、高度順応などサッカー以外の要因で努力した甲斐もあってか運よく予選リーグを突破。カメルーンやデンマークの低調なパフォーマンスと、宝くじに当選するような幸運にも手助けされた結果であることに、日本国民の多くは気がついていないようだから笑える。

その後PK戦での敗退が決まり、大手を振って帰国した選手団を歓迎一色で出迎える人々。正直なところ、あの人たちの頭は正常なのかと疑ってしまう。未来のサッカーをダメにする類のプレーしか展開しておらず、大会前に掲げたはずの目標すら達成していないというのに、何を歓迎する必要があるのか理解に苦しむ。勝負にこだわったゆえのあのサッカーなのかとも思っていたが、結局国民はまったく勝利に拘泥していなかったのね。そうでなければ、敗退して帰国した選手団に腐った卵を投げつけていたはずだから。0トップのサッカーでW杯制覇が狙えるのであれば私も賛同したいとも思うが、あのサッカーで2050年までにW杯優勝が狙えると本気で考える人がいるのなら、一度病院で頭を診てもらったほうがいいだろう。

驚いたのは、大会後にサッカー批評などを読む限り、今大会での日本代表監督の仕事を評価する意見が多かったことだ。ほとんどインスパイヤーされることのない凡庸なプレーを続け、目標のベスト4には届かない中途半端なベスト16という結果で、日本という国では監督がいい仕事をしたと評価されてしまうらしい。しかもネット上では監督に謝れなどと議論されていたというのだから、あきれ返ってしまう。大会前にベスト4などと大風呂敷を広げておいて、目標を達成できませんでしたと謝るのは監督のほうだろうに。あのサッカーでW杯ベスト4は、どう考えてもあり得ない。カメルーンとデンマークのあの不出来さ加減を考慮すると、オシムが監督を続けていたとしてもベスト16は固かったと思われる。結局のところ、ここの国にはサッカーを本質的に知る人も少なければ、将来におけるサッカーの発展をまじめに考える人も少ないことを実感させられた大会であったといえよう。同じベスト16でも韓国のサッカーとは明らかな差があったことに、もう少し多くの人が気がついてもよいのではなかろうか。
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by akira-takeuchi | 2010-12-31 11:30 | サッカー
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