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W杯南アフリカ大会・スペインの優勝に思うこと

W杯南アフリカ大会が、スペインの優勝で成功裏に閉幕した。実際にはプレス関係者が身ぐるみはがされたという話もあったようだが、大会前にはちゃんと運営されるのか懐疑的な見方もあったのだから、おおむね評価される大会だったと言ってよいのだろう。ここ2大会は現場へ行っていた私も、治安が悪いという理由で南アフリカへ赴かなかったことを後悔している。現地から届く映像を見ていると、地元の人々が好意的で活気にあふれているような印象を持ったからだ。4年後に開催されるブラジル大会は日本から遠い大陸ではあるけれど、現場へ行くことを真剣に考えたくなった。W杯が遠い存在であればあるほど、それにたどり着きたいと思うのは人の性であろうか。

ところで決勝戦の印象であるが、最初に思うのはPK合戦で決着しなくてよかったということだ。それが美しいにせよ汚くて醜いにせよ、ピッチで展開されたサッカーの要素で優勝チームが決まったのだからよしとせねばならないのではなかろうか。少なくとも、PK合戦というサッカーとはまったく別の要因で優勝チームを決定するのは興醒めだし見るに堪えない。そう考えると、イニエスタはよくぞゴールを決めたものだと思う。120分近く走りまわったあとであのポジションに上がってきてパスを受けてシュートを決めたのだから、恐るべしと言わざるを得まい。反則覚悟でスペインの攻撃を寸断しつづけて10人になったオランダの最後の息の根を止める一発は、私の脳裏にも永く刻まれることだろう。

とかく決勝戦はそれまでと同じことが出来なくなると私は書いたが、オランダは少しヒートアップし過ぎてしまったようだ。4年前のドイツ大会でも、敗れたポルトガルとの試合では2人も退場者を出している。今回の決勝戦でもレフリーがもう少しルールに厳格に判定すれば、オランダはあと1人か2人は退場になっていたはずで、さすがの私も目を覆いたくなるようなファウルがあった。ヨハン・クライフに率いられた74年のオランダは美しいサッカーを展開しておきながら、決勝戦ではフォクツをはじめとするドイツ人の反則によって試合を壊され、そして逆転負けを喫した。今回はスペインのパスワークを寸断し、サッカーという競技の体をなさないような試合に持ち込もうとしたが、それでも延長戦の末に敗れてしまった。どんな手立てを尽くしても、オランダはW杯の決勝戦では勝てないことになっているのかもしれないという印象である。

いっぽうのスペインであるが、かような攻撃型のチームが最後まで勝ち残ったことはサッカーの未来に希望を抱かせる結果であったといえよう。やはりサッカーは、まず攻撃ありきであってほしいと思う。ただ、あれほどボールポゼッションで優位に立ったスペインでさえ、決勝トーナメントの4試合はいずれも1-0(ウノ・セロ)の試合になってしまった。かのスペインのサッカーをもってしても、戦術的な進化を遂げた現代サッカーの守備的戦術を切り崩すのに苦労した証であり、これこそが現代サッカーの病根ともいえる。ボールを保持しているだけでは勝てないのがサッカーの持つ競技特性だが、もう少し得点が入らないと見ている側はおもしろくない。得点数の減少は今大会で使用されたボールにも要因があると言われているが、ボールをつくる科学的技術が進歩を遂げた結果、得点が減少するのは本末転倒ではなかろうか。

私個人の印象を正直に語ると、勝負弱さが伝統であるスペイン代表が勝ち残ったことには一抹の違和感を禁じえない。決勝戦で7試合目となるスペインの試合を見ていても、カタルーニャ人のシャビとレアル・マドリードのシャビ・アロンソ(ちなみに彼はバスク人であり彼の父親はFCバルセロナのプレーヤーであった)のパス交換にはどこか馴染めない感覚があったし、FCバルセロナ所属であるイニエスタの決勝ゴールにマドリッド市民が熱狂するという現実は映像で見てもどこか虚構の出来事のように思えてならなかった。ネットで知りえた情報によると、優勝が決まった瞬間にカシージャスとプジョルが真っ先に抱き合う姿を見て感動したとアスカルゴルタが言ったそうだ。どうやら私と同じような感覚を抱いていたのは、ほかならぬスペイン人だったのかもしれない。

こんなことを感じるのは、私がカスティヤーノ(スペイン語)を流暢に話すがカスティーヤ(マドリッド)を訪れたことがなく、カタルーニャ地方とバスク地方しか訪れたことのない特殊な日本人であるためかもしれない。しかしそれでも、土着意識の強いスペインという統一国家において、カスティーヤ人とカタルーニャ人がパス交換をしながらゴールを目指す姿は奇妙な光景と私の目には映ってしまう。だからカスティーヤとカタルーニャとが互いにしのぎを削ることで伝統を築いてきたスペインサッカーを取り巻く現実が今後はどのように変化していくのか興味深く見つめていきたいと思う。そして今回のスペイン代表の優勝で国家がひとつにまとまったと報じられており、代表チームの優勝がカタルーニャやバスク地方で続いている独立運動などの政治の面にどんな影響を与えるのだろうかなどと、日本人でありながら気になってしまう。ひとりのワールドトラベラーとして、スペインという国の魅力は地域ごとの独自性だと認識していたが、その魅力にさえも何かしらの変化をもたらしそうな今回のスペインの優勝であった。
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by akira-takeuchi | 2010-07-15 01:16 | サッカー

W杯南アフリカ大会・決勝戦はオランダvスペインの組み合わせに

W杯南ア大会の決勝戦の組み合わせがオランダvスペインに決まり、あと数時間でキックオフされる。ともに初優勝をかけた試合となるわけで、新たなサッカーの歴史が作られることになったことをうれしく思う。さらに言うと、これまで欧州のチームは欧州開催の大会でしか優勝したことがない。欧州外で開催される大会で欧州のチームが優勝するのは、W杯の歴史において歴史的なことだと思う。大会前の私の予想では決勝戦はブラジルvドイツの組み合わせだったが、この2つのサッカー大国を破ったオランダとスペインが決勝戦で激突するのだから、私の見る目がなかったということだし、オランダとスペインがこの2国をサッカーの要素において上回ったということなのだろう。

ただ、美しいサッカーを展開するわりに気ままで自由奔放な国民性が災いしてか、これまでどこか勝負強さに欠けるこの両国の対戦となったのは、ちょっと意外な気もする。そもそも近年チャンピオンズリーグの隆盛とともに、欧州ではナショナルチームの意義が薄れてきていると思うから、ゲルマン魂とかライオンハートなどというファイティングスピリットが勝負の要素とはなりえなくなったのだろう。その結果ドイツやイングランドは、敗れた試合ではさしたるインパクトも残さないまま、あっさりと帰国を余儀なくされた印象だった。さらにフランスなど一部のチームでは内紛が勃発していたようだが、W杯に出場することが選手にとってさしたる価値を持たない時代になったと思わされる象徴的な出来事だったといえる。生きるか死ぬかといった類のぎりぎりの勝負ではなくなった現代のW杯において、美しいが勝てないオランダと勝負弱さが伝統のスペインが勝ち残ったのは、ある意味においてサッカー界の変遷を反映していると思うし、これから先のW杯があるべき姿を投影しているのかもしれない。

その決勝戦であるが、スペインに一日の長があると考える向きが多いようだ。たしかに準決勝のドイツ戦でも、スペインにボールが渡るとそう簡単に奪い取られることはないように感じた。ドイツ守備陣はスペインのボール回しを追いかけて走らされ、完全に消耗してしまった。同じことが決勝戦でも可能であれば、オランダも消耗し尽くしてしまうだろう。しかし個人的な経験から感じることだが、この決勝戦という代物は、それまでに出来ていたはずのことが出来なくなる性質の試合だ。チャンピオンズリーグや国内リーグでプレッシャーのかかる試合を数多く経験しているスペイン代表の選手といえども、このW杯の決勝戦でもこれまでの試合と同様にプレーできるかどうか、彼らの真価が問われるといえるだろう。

オランダはトータルフットボールを世に広めた国ではあるが、今大会はちょっと印象が異なる。全員で美しくプレーするというよりも、守備から入るチームに方向転換した節が感じられる。守備を固めておいて、奪ったボールをすばやく前線に展開してスナイデルやロッベンの個人技に任せるスタイルは、イタリアのような印象すら受ける。それほど中盤がないという点では、ドイツのようにも思える。となるとオランダは、前線の選手が守備に追われることなく攻撃にからむことが重要だ。スナイデルやロッベンが守備に追われるようだとスペインが有利になるだろうし、この2人の選手が個人技で突破をくりかえすならオランダが有利に試合を運ぶことだろう。

個人的な印象としては、どちらのチームが勝っても心から喜ぶことができる組み合わせだ。なぜなら、欧州の国どうしが初優勝をかけて決勝戦を戦うのだから。オランダもスペインも過去に何度も訪れたことのあるヨーロッパの国だし、いい思い出ばかりが脳裏に刻まれている。どちらの国が勝ってもおめでとうと言えるし、この決勝戦の組み合わせに今から乾杯したい心境だ。勝負の神様は1チームの勝者しか認めれくれないが、今日ばかりはこの神様を呪ってしまいたい。
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by akira-takeuchi | 2010-07-12 00:36 | サッカー

セリーグ公式戦・阪神v東京ヤクルト9回戦

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by akira-takeuchi | 2010-07-06 22:02 | プロ野球