J2第28節・ファジアーノ岡山vヴァンフォーレ甲府

プロサッカーの興行としてはあまりに酷い。ひどすぎて見苦しささえ覚える試合だった。金を払って欠陥商品のような試合を見せられては、一人の観衆として憤りを禁じえない。パリーグ優勝のかかった福岡ソフトバンクホークスの試合がナイトゲームだったので、今日の午後はKankoスタジアムへと足を運んだが、無駄な時間を過ごしただけだった。J1昇格という明確な目標のあるヴァンフォーレ甲府と、いくら負けても降格することもないアマチュア同然のファジアーノ岡山との間に存在する、試合に対するモチベーションの差がスコアとなって顕在化したと言ってしまえばそれまでか。上位と下位の力量差が大きいJ2でこのような試合が頻発するようでは、Jリーグを安易に拡大する方針(J2を22チームまで拡大する予定)にも再考の余地があるだろう。そして、私の知っているほかのJリーグのチームや諸外国であれば、地元で0-4の敗戦を喫したらブーイングだけでなく水の入ったペットボトルがグランドに投げ込まれることだってあるように思うが、試合終了後は当たり前のように整列した選手がスタンドにあいさつしていることにも驚かされた。

冷静に思い返してみると、甲府は0-0で迎えた前半の終了間際に敢えて攻撃せず守りを固めることに重点を置いていた。守備を固めて先に失点さえしなければ、岡山が消耗する後半にいつでも点が取れると踏んだのだろう。たしかに甲府の#4と#5が中心に陣取る最終ラインは安定しており、岡山の攻撃でゴールを陥れることは最初から不可能なように思えた。甲府の守備の素晴らしいのは、相手ボールになったときにFWの3人もさぼらず前線からチェイスすることだ。そして昨年の加入当初ははね返すだけのDFだった#5(失礼)が流れの中でチャンスと見るや攻撃参加し、足で見事なトラップを決めてシュートを放つシーンには驚かされた。前半は岡山の守備の前に攻撃が実らなかったが、後半になると甲府の持つ攻撃力ばかりが目立つ試合になった。後半開始早々に左からのFKを#11が頭で合わせて先制すると、#10が狙いすましてミドルを右隅に決めて2点目を挙げた。さらにボールを持って突進した#11からのスルーパスを受けてGKと1対1になった#15がゴールに流し込んで追加点を挙げ、終了間際には相手DFからボールをかっさらって#11がダメ押しの4点目を決めた。

前半の岡山はFWの#9と#19が攻撃に守備にと奔走していたが、あの運動量は90分続かないだろうと思っていた。前半はよく守ったがこの2人が交代した後半は特に見るべきところもなく、マークの甘さと雑な守備だけが印象に残った。甲府に3点目と4点目を許したシーンは、プロのチームのプレーとは思えなかった。一度JFLに降格してアマチュアからやり直す以外にこのチームを強くする手立てはなさそうだ。
そういえば試合前に、ファジアーノサポーターがルパンⅢ世のテーマを歌っていた。ヤクルトスワローズのチャンステーマから取ってきたのか、高校野球の応援を見て真似をしたのか。選手入場のときのオーバーザレインボー(千葉ロッテ)にしてもチャンスのときの応援(HondaFC)にしても独創性はなく、どこかの応援の二番煎じばかりというのは読売ジャイアンツにも似ている。高校野球の応援からパクってくるのなら、今年の新潟明訓の応援から取ってくればいいのに。新潟明訓の応援の選曲が秀逸だったということは、ネット上でしばしば語られており私も認めるところなのだが。このたぐいの応援文化というものに関しても岡山は不毛の地であるゆえ、各種スポーツの応援に精通した人が少ないことも嘆かわしく思える。

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# by akira-takeuchi | 2010-09-27 00:08 | サッカー

セリーグ公式戦・阪神v読売20回戦

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# by akira-takeuchi | 2010-09-18 23:39 | プロ野球

パリーグ公式戦・オリックスv埼玉西武23回戦

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# by akira-takeuchi | 2010-09-15 23:34 | プロ野球

J2第25節・ファジアーノ岡山v愛媛FC

ここ数ヶ月、W杯や高校野球を見る日がつづいていたため、地元のサッカーを見に行く機会がなかった。世界最高峰のW杯にしても、負けたら終わりの高校野球にしても、よほどの天変地異でもない限り優先順位は地元のJ2より上なので、仕方ないと言うしかなかろう。そんなわけで久しぶりにサッカーを現場で見たが、仕事に忙殺されていた日常を忘れることができ、非常にいい気分転換になった。すべての瞬間においてさまざまな選択肢(パスコース)が存在し、状況が流動的に変わりつづけるサッカーは、スタンドから見ていて頭の刺激になる。また機会があれば近いうちにサッカーを見に行きたいと思うし、地元でJ2の試合をしてくれる選手たちにはこの場を借りて感謝申し上げたい。

試合の前半は、愛媛が完全に試合を制圧した。正直なところ、J2の下位チームでもこれほどまでにやっているサッカーが違うのかと思うと愕然とした。ファジアーノ岡山の試合を見るのは4ヶ月ぶりだが、4ヶ月たっても何も変わっていない。このチームに巣食った病根は、まったく解消されていなかった。選手の技術によるものか戦術的なものなのか、はたまた暑さによる疲労の蓄積によるものなのかは分かりかねるが、岡山はボールを奪っても選手の動き出しが遅くて運動量も少なく、相手ゴール前までボールを運ぶことすらできない。愛媛にいいようにボールをつながれ、岡山は中盤で選手がボールを追いかけて右往左往するばかりだった。前半の15分過ぎに愛媛#19がGKのはね返りを押し込み、前半終了間際には#9がGKと1対1になってループで決めて0-2とした。

しかし後半の岡山は、見違えるようによくなった。後半開始から交代出場した#11と#9がどのように効いていたのか、私の座っていた位置からは分かりにくかったのが残念だが。後半開始早々に左サイドをえぐり、こぼれたところを#7が押しこんで1点を返した。1点を返して勢いづいた岡山は中盤でもパスが回るようになり、後半の半ばには愛媛#4が2度目の警告で退場となり数的優位に立った。その後も再三のように愛媛ゴール前まで攻め込み、セットプレーが相次いだが、同点ゴールを陥れることなく1-2のままでタイムアップの笛を聞いた。

その試合まで全勝のチーム同士が対戦する高校野球なら負けて惜しかったということもできるのだろうが、ここまで3連敗中のファジアーノ岡山に対して惜しかったと言うことはできまい。前半から腰の引けた試合で攻撃することがまったくできず、愛媛のシュートの雨あられ。挙げ句の果てに2点のビハインドを許しては、連敗脱出への道のりは最初の45分で遠のいていたといえる。特に愛媛#9に許した2点目は、中盤でもう少しハードに詰めていれば#9にボールを与えることもなかったわけで、選手の意識の問題もあろうがもったいないの一言である。しかしながらこの愛媛の2点目のときに、あからさまな反則があったものの主審は大きなジェスチャーでプレーオンを指示し、ゴールが決まったあとでイエローカードを提示していた。この判断は見事だったと思うし、この主審の判断を見ることができただけでも今日の試合を見に行った価値はあったというものだ。

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そういえば、後半途中に愛媛#9が倒れたとき、DFラインでボールを奪った愛媛の選手はプレーを止めるためにボールを外に蹴りだした。にもかかわらずそのあとのスローインで、ファジアーノ岡山は当たり前のようにマイボールの攻撃を続け、相手にボールを返そうとはしていなかった。ピッチ上でのプレーの質が低レベルなら、プレーのマナーも最悪。こんなチームに存在意義を見出すことすら難しく思え、失笑するしかなかった。それと久しぶりにサッカーの試合会場に訪れたが、相変わらず続いているKankoスタジアムの横柄なアナウンスと、得点チャンスのときに観衆が回すマフラーが気になった。そもそも日本のスポーツ界で最初にマフラー(厳密にはタオル)を回したのは、千葉ロッテのファンだったはず。だから自分の背後に客がいることも気にせずスタジアムでタオルを回すのは、ロッテファン以外は禁止!!(笑)タオルは布が小さいからまだ許されるが、あんなに長いマフラーをチャンスのときに目の前で回されては、視界をさえぎられて迷惑も甚だしい。この訳の分からない風習だけは、早いうちにどうにかしてもらいたいものだ。日本のサッカー文化が低レベルであることの象徴である。

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# by akira-takeuchi | 2010-09-13 22:23 | サッカー

セリーグ公式戦・阪神v東京ヤクルト17回戦

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# by akira-takeuchi | 2010-08-15 23:57 | プロ野球

W杯南アフリカ大会・スペインの優勝に思うこと

W杯南アフリカ大会が、スペインの優勝で成功裏に閉幕した。実際にはプレス関係者が身ぐるみはがされたという話もあったようだが、大会前にはちゃんと運営されるのか懐疑的な見方もあったのだから、おおむね評価される大会だったと言ってよいのだろう。ここ2大会は現場へ行っていた私も、治安が悪いという理由で南アフリカへ赴かなかったことを後悔している。現地から届く映像を見ていると、地元の人々が好意的で活気にあふれているような印象を持ったからだ。4年後に開催されるブラジル大会は日本から遠い大陸ではあるけれど、現場へ行くことを真剣に考えたくなった。W杯が遠い存在であればあるほど、それにたどり着きたいと思うのは人の性であろうか。

ところで決勝戦の印象であるが、最初に思うのはPK合戦で決着しなくてよかったということだ。それが美しいにせよ汚くて醜いにせよ、ピッチで展開されたサッカーの要素で優勝チームが決まったのだからよしとせねばならないのではなかろうか。少なくとも、PK合戦というサッカーとはまったく別の要因で優勝チームを決定するのは興醒めだし見るに堪えない。そう考えると、イニエスタはよくぞゴールを決めたものだと思う。120分近く走りまわったあとであのポジションに上がってきてパスを受けてシュートを決めたのだから、恐るべしと言わざるを得まい。反則覚悟でスペインの攻撃を寸断しつづけて10人になったオランダの最後の息の根を止める一発は、私の脳裏にも永く刻まれることだろう。

とかく決勝戦はそれまでと同じことが出来なくなると私は書いたが、オランダは少しヒートアップし過ぎてしまったようだ。4年前のドイツ大会でも、敗れたポルトガルとの試合では2人も退場者を出している。今回の決勝戦でもレフリーがもう少しルールに厳格に判定すれば、オランダはあと1人か2人は退場になっていたはずで、さすがの私も目を覆いたくなるようなファウルがあった。ヨハン・クライフに率いられた74年のオランダは美しいサッカーを展開しておきながら、決勝戦ではフォクツをはじめとするドイツ人の反則によって試合を壊され、そして逆転負けを喫した。今回はスペインのパスワークを寸断し、サッカーという競技の体をなさないような試合に持ち込もうとしたが、それでも延長戦の末に敗れてしまった。どんな手立てを尽くしても、オランダはW杯の決勝戦では勝てないことになっているのかもしれないという印象である。

いっぽうのスペインであるが、かような攻撃型のチームが最後まで勝ち残ったことはサッカーの未来に希望を抱かせる結果であったといえよう。やはりサッカーは、まず攻撃ありきであってほしいと思う。ただ、あれほどボールポゼッションで優位に立ったスペインでさえ、決勝トーナメントの4試合はいずれも1-0(ウノ・セロ)の試合になってしまった。かのスペインのサッカーをもってしても、戦術的な進化を遂げた現代サッカーの守備的戦術を切り崩すのに苦労した証であり、これこそが現代サッカーの病根ともいえる。ボールを保持しているだけでは勝てないのがサッカーの持つ競技特性だが、もう少し得点が入らないと見ている側はおもしろくない。得点数の減少は今大会で使用されたボールにも要因があると言われているが、ボールをつくる科学的技術が進歩を遂げた結果、得点が減少するのは本末転倒ではなかろうか。

私個人の印象を正直に語ると、勝負弱さが伝統であるスペイン代表が勝ち残ったことには一抹の違和感を禁じえない。決勝戦で7試合目となるスペインの試合を見ていても、カタルーニャ人のシャビとレアル・マドリードのシャビ・アロンソ(ちなみに彼はバスク人であり彼の父親はFCバルセロナのプレーヤーであった)のパス交換にはどこか馴染めない感覚があったし、FCバルセロナ所属であるイニエスタの決勝ゴールにマドリッド市民が熱狂するという現実は映像で見てもどこか虚構の出来事のように思えてならなかった。ネットで知りえた情報によると、優勝が決まった瞬間にカシージャスとプジョルが真っ先に抱き合う姿を見て感動したとアスカルゴルタが言ったそうだ。どうやら私と同じような感覚を抱いていたのは、ほかならぬスペイン人だったのかもしれない。

こんなことを感じるのは、私がカスティヤーノ(スペイン語)を流暢に話すがカスティーヤ(マドリッド)を訪れたことがなく、カタルーニャ地方とバスク地方しか訪れたことのない特殊な日本人であるためかもしれない。しかしそれでも、土着意識の強いスペインという統一国家において、カスティーヤ人とカタルーニャ人がパス交換をしながらゴールを目指す姿は奇妙な光景と私の目には映ってしまう。だからカスティーヤとカタルーニャとが互いにしのぎを削ることで伝統を築いてきたスペインサッカーを取り巻く現実が今後はどのように変化していくのか興味深く見つめていきたいと思う。そして今回のスペイン代表の優勝で国家がひとつにまとまったと報じられており、代表チームの優勝がカタルーニャやバスク地方で続いている独立運動などの政治の面にどんな影響を与えるのだろうかなどと、日本人でありながら気になってしまう。ひとりのワールドトラベラーとして、スペインという国の魅力は地域ごとの独自性だと認識していたが、その魅力にさえも何かしらの変化をもたらしそうな今回のスペインの優勝であった。
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# by akira-takeuchi | 2010-07-15 01:16 | サッカー

W杯南アフリカ大会・決勝戦はオランダvスペインの組み合わせに

W杯南ア大会の決勝戦の組み合わせがオランダvスペインに決まり、あと数時間でキックオフされる。ともに初優勝をかけた試合となるわけで、新たなサッカーの歴史が作られることになったことをうれしく思う。さらに言うと、これまで欧州のチームは欧州開催の大会でしか優勝したことがない。欧州外で開催される大会で欧州のチームが優勝するのは、W杯の歴史において歴史的なことだと思う。大会前の私の予想では決勝戦はブラジルvドイツの組み合わせだったが、この2つのサッカー大国を破ったオランダとスペインが決勝戦で激突するのだから、私の見る目がなかったということだし、オランダとスペインがこの2国をサッカーの要素において上回ったということなのだろう。

ただ、美しいサッカーを展開するわりに気ままで自由奔放な国民性が災いしてか、これまでどこか勝負強さに欠けるこの両国の対戦となったのは、ちょっと意外な気もする。そもそも近年チャンピオンズリーグの隆盛とともに、欧州ではナショナルチームの意義が薄れてきていると思うから、ゲルマン魂とかライオンハートなどというファイティングスピリットが勝負の要素とはなりえなくなったのだろう。その結果ドイツやイングランドは、敗れた試合ではさしたるインパクトも残さないまま、あっさりと帰国を余儀なくされた印象だった。さらにフランスなど一部のチームでは内紛が勃発していたようだが、W杯に出場することが選手にとってさしたる価値を持たない時代になったと思わされる象徴的な出来事だったといえる。生きるか死ぬかといった類のぎりぎりの勝負ではなくなった現代のW杯において、美しいが勝てないオランダと勝負弱さが伝統のスペインが勝ち残ったのは、ある意味においてサッカー界の変遷を反映していると思うし、これから先のW杯があるべき姿を投影しているのかもしれない。

その決勝戦であるが、スペインに一日の長があると考える向きが多いようだ。たしかに準決勝のドイツ戦でも、スペインにボールが渡るとそう簡単に奪い取られることはないように感じた。ドイツ守備陣はスペインのボール回しを追いかけて走らされ、完全に消耗してしまった。同じことが決勝戦でも可能であれば、オランダも消耗し尽くしてしまうだろう。しかし個人的な経験から感じることだが、この決勝戦という代物は、それまでに出来ていたはずのことが出来なくなる性質の試合だ。チャンピオンズリーグや国内リーグでプレッシャーのかかる試合を数多く経験しているスペイン代表の選手といえども、このW杯の決勝戦でもこれまでの試合と同様にプレーできるかどうか、彼らの真価が問われるといえるだろう。

オランダはトータルフットボールを世に広めた国ではあるが、今大会はちょっと印象が異なる。全員で美しくプレーするというよりも、守備から入るチームに方向転換した節が感じられる。守備を固めておいて、奪ったボールをすばやく前線に展開してスナイデルやロッベンの個人技に任せるスタイルは、イタリアのような印象すら受ける。それほど中盤がないという点では、ドイツのようにも思える。となるとオランダは、前線の選手が守備に追われることなく攻撃にからむことが重要だ。スナイデルやロッベンが守備に追われるようだとスペインが有利になるだろうし、この2人の選手が個人技で突破をくりかえすならオランダが有利に試合を運ぶことだろう。

個人的な印象としては、どちらのチームが勝っても心から喜ぶことができる組み合わせだ。なぜなら、欧州の国どうしが初優勝をかけて決勝戦を戦うのだから。オランダもスペインも過去に何度も訪れたことのあるヨーロッパの国だし、いい思い出ばかりが脳裏に刻まれている。どちらの国が勝ってもおめでとうと言えるし、この決勝戦の組み合わせに今から乾杯したい心境だ。勝負の神様は1チームの勝者しか認めれくれないが、今日ばかりはこの神様を呪ってしまいたい。
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# by akira-takeuchi | 2010-07-12 00:36 | サッカー

セリーグ公式戦・阪神v東京ヤクルト9回戦

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# by akira-takeuchi | 2010-07-06 22:02 | プロ野球

W杯南アフリカ大会・グループリーグ終わった

今回の大会は現場へ行かなかったので、お茶の間で見たい放題テレビ観戦できる。自宅でW杯を見ることがこれほど楽なことだったとは、この12年間忘れていた感覚だ。実際のところ、現場へ行くと実際にスタンドで見る試合以外は、ニュースですら見ることはほとんどない。だから、どこのチームが勝ち進んで決勝トーナメントがどんな組み合わせになるかなんて、翌日の新聞を見るまで知らないなんてことはざらである。そんなわけで現場へ行っていると、大会に関わっているのにある種の疎外感のようなものを感じていたから、今回はフルにすべての試合に関わっているような錯覚を覚える。

そんなわけで、一次リーグの試合をテレビで20試合くらい見たが、まず驚きに値したのはニュージーランドだ。過去のW杯の歴史で勝ち点を挙げたこともなかったチームが、3試合連続の引き分け。これまでニュージーランドではW杯と言えばラグビーだったのだろうが、今大会を機にフットボールにもW杯があると知ったニュージーランド人は多かったことだろう。ラグビー人口が減少してサッカー人口が増えてしまっては困ろうが(実際に豪州ではそのような現実があるらしい)、来年ラグビーのW杯を開催するニュージーランドが今後W杯出場国の常連となるのかもしれない。

そして次に驚いたのがスロベニアだ。ロシアをプレーオフのアウェイゴール数でくだして本大会に出場したとはいえ、正直なところ私は少しスロベニアを見くびっていた。勤勉で個人のテクニックにも優れた11人が揃うスロベニアのサッカーをもっと見たいと願ったのだが、残念ながらイングランド戦のラスト30分ほどはイングランドにスタミナ面でもフィジカル面でもやや引けをとってしまい、前半に奪われたリードを追いつくことなくタイムアップの笛を聞いた。同時刻にキックオフされていた試合が終了間際のドノバンのゴールで米国が勝ったため、スロベニアのW杯はその瞬間に終わりを告げてしまった。またスロベニアのサッカーを見るのに4年(欧州選手権も含めれば2年だが)も待つのはあまりに長い歳月と言わざるを得ない。岡山県とほぼ同じ人口の国が日々の日常でどのようなサッカーを展開しているのか、その国内リーグを一度この目で確かめにスロベニアという国へ赴いてみたいものだ(今回の大会に出場している選手の多くは国外でプレーしているが)。

最後に開催国についてであるが、正直なところ南アフリカというと治安が悪い国というイメージしか抱いていなかった。旅行者の間でヨハネスブルクは治安が世界最悪と言われるのだから、それも無理からぬことであるが。しかし大会を通じて届く映像を見るかぎり、それほど治安がメチャクチャな国でもないように思えてきた。少なくとも、町行く人がすべて泥棒というわけではなさそうだ。治安だけでなく気候や食生活も違うため、胃腸の弱い私にとってアフリカ大陸という地はたしかに非常に高いハードルではある。しかしもしこの世に生を享けているうちにかの大陸を訪れることができたら、きっとそれは私の旅の歴史で大きなアチーブメントになるのだと思えるようになった。一次リーグの試合でスタンドには空席が目立ったが、その空席が私とアフリカ大陸との距離感をあらわしているのだと思うし、もし次にアフリカ大陸のどこかでW杯が開催されたなら、あの空席を私の身体で埋めてみたいものだ。

そして今夜おこなわれるドイツvイングランドは、私の旅の経歴に影響を与えた試合である。66年のW杯イングランド大会の決勝戦や70年メキシコ大会の準々決勝はリアルタイムで知らないが、トリノでおこなわれた90年のイタリア大会準決勝は私の脳裏に深く刻み込まれている。10年ほど前にユベントスの試合を見に、今はなきデッレアルピを訪れたが、スタンドについた瞬間に思い出したのはPK戦にまでもつれ込んだこの試合だった。さらにウェンブレーでおこなわれたEURO96イングランド大会の準決勝も印象に残る試合のひとつだ。この試合のPK戦でアンドレアス・メラーが決めた最後のペナルティキックは、いまだに私の脳裏から離れない。クロスバーに強くヒットして高い金属音とともにゴールネットに吸い込まれたあのPKと、それ以外の5人のドイツ人キッカーがことごとくサイドネットの上隅に沈めたペナルティキックは、外国でサッカーを見たいと思う私の背中を強く後押しした。蘭白共催となったEURO2000でも、この両国はグループリーグで対戦。その試合がおこなわれた日、私はオランダのアーネムでポルトガルvルーマニアの試合を見ていたし、その試合のあとでテレビでドイツvイングランドの試合を見た記憶がある。

これほど幾多の名勝負が残るドイツvイングランドの対戦は、歴史的背景もあって必要以上にヒートアップする。W杯は国家の威信をかけているとか、W杯では内容は二の次で勝つことだけが正義だとか、いろいろ論う人は多いが、さすがにこの対戦にかぎっては私も同調せざるを得まい。もし私がこの試合の現場に居合わせていたら、ゴッドセイブザクイーンを歌っていることは間違いないだろう。個人的にイングランド、そして英国に対する敬意を忘れてはいない。なぜなら私がはじめて訪れた外国がイングランドだったのだから。その選択が間違っていなかったから今の自分があるのだし、その後に欧州のほとんどの国でサッカーを見ることができたのだと確信している。しかし私の知る1980年代以降、代表ではイングランドはドイツの後塵を拝することの多いこと。その大いなる潮流は、少々のことでは変わりそうにないと事あるごとに痛感させられる。ゲルマン魂とライオンハート、ともに不屈の精神をもった民族同士の対決、そして伝統的に中盤のないサッカーでエンターテイメント性に乏しい国同士の対決、語りつくせばきりがないが、今夜の試合が私を今度はどこの町へ旅立たせるのだろうか。
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# by akira-takeuchi | 2010-06-27 21:51 | サッカー

W杯南アフリカ大会・決勝トーナメントへ

昨日でW杯の一次リーグが終了した。全体的に欧州勢が不振だと言われる。フランス、イタリアが3試合で帰国の途に着くと大会前に予想した人は、かなり少数派だろう。しかし、商業主義が蔓延した現代サッカー界の過密日程のせいで、ヨーロッパの選手は全体的に疲弊してしまっている。それに加えて準備期間が短いのだから、調子が上がらないままに敗退が決してしまうことは想像に難くなかったというのが私の印象である。逆に言うなら、最終戦で決勝トーナメント進出を決めたイングランド、ドイツ、ポルトガル、スペインは立派だったといってよいだろう。だが、この2チーム同士が次の試合で対戦することになるとは、欧州勢にとって気の毒としか言いようがない。オランダもスロバキアとの対戦となるので、ベスト8には欧州から3チームしか進出することができない組み合わせになってしまった。90年代中盤のボスマン裁定以降、ヨーロッパへの一極集中に加速が進んだ現代サッカー界のヒエラルヒーに、そろそろメスが入ってもいい頃ではなかろうか。さもなくば、W杯はこれからもスポイルされ続けることになる。実際のところ、チームの完成度や試合のエンターテイメント性では、チャンピオンズリーグのほうが秀でているのは間違いないのだから。

そんな現代のW杯では、すでに巨額の富を手にした欧州の選手よりも、自分をアピールする場と捉える選手のほうがモチベーションが上がりやすいのだろう。南米から出場した5ヶ国がすべてベスト16に残ったのは、その象徴的な例といえる。アフリカは、20年ほど前までは個人の能力がすば抜けていた印象があるけれど、ある種の戦術にのっとってプレーする近年はどこか凡庸に感じられる。なんとなく欧州化したせいで、荒削りなその魅力が薄れてしまった。さらに近年、若いうちから欧州に渡るアフリカ人選手が多くなったせいか、ヨーロッパ人のように個々の主張ばかりが強くなっては、チームとしてまとまって勝ち進むことは難しいのかもしれない。その他では、米国、メキシコ、韓国、日本がベスト16に勝ち進んだ。北中米の米国、メキシコはともかく、アジアから2チームも勝ち残るとは衝撃的である。大会前からある程度の評判を聞いていた韓国はさておき、日本が勝ち残るとはまさにミラクルである。グループリーグで対戦したカメルーンやデンマークがお粗末だった側面は否めないが、いったいどのような魔法をかけるとチームがこれほど見違えるのだろうか。

そして決勝トーナメントからは、すべて一発勝負の世界になる。ここからが本当のW杯とも言えるし、予定調和の世界とも言える。過去に勝ったことがあるかどうか、これこそが勝つための条件である。その証拠に、W杯の決勝戦に進出したチームで優勝経験がなかったチームはこの30年で12年前のフランスだけ。さらに遡るなら、初優勝をかけてアルゼンチンとオランダが対戦した78年大会ということになる。そんなわけで決勝戦の組み合わせを予想すると、やはりブラジルvドイツまたはブラジルvアルゼンチンということになる。アルゼンチンは一次リーグの出来がよすぎたので、逆に先に失点したときなどに一抹の不安が残る。ドイツは次の相手がイングランド、勝ってもアルゼンチンという厳しい組み合わせになった。ブラジルは準々決勝で対戦することが見込まれるオランダが最初の山といえる。それ以外のベスト4は、実力が伯仲していてどこが勝ち進んでもおかしくない。南米勢は堅実だし、南米予選で高地での試合を強いられているので、チリ以外の4チームが南米からすべてベスト4まで勝ち残っても驚きには値しないだろう。

そして日本についてであるが、繰り返しになるがこのブログを書くに当たってまだ次の試合を控えているというのは驚きである。大会前に3試合で帰国の途に着く一番手に挙げていたのが日本だったのだが。しかし日本の世論というのはいい加減なものである。大会前にあれだけ批判的なことを書き並べておきながら、ちょっと2試合勝っただけで浮ついた記事の多いこと。挙げ句の果てに優勝までいけるというのには失笑を禁じえない。ベスト16に勝ち残ったこの段階で日本代表に関して書かれた個人のブログの批判的な記事に、サッカーを見る目がないだのとコメントが多数寄せられているのを見かける。そんなコメントしかできない低俗な連中は結果論でしか語ることができないわけで、サッカーの本質やW杯の難しさなどが理解できようはずもない。私個人は、大会前にまともなチーム編成もできなかった日本の監督に対しては批判的な考えを変えていないし、マグレ(奇跡的に決まった2つのFK)で勝ったからといっていい気になるなと思っている。細かく見ていくと、日本はDFに小さな失策が非常に多いし、中盤でミスしてボールを与えなければ日本にゴールを許すことはないように思える。次の対戦相手であるパラグアイは、見た感じは日本より中盤の動き出しが速いので、そのあたりを生かそうとするのではなかろうか。日本と同様、パラグアイもベスト8に進出したことはない国。98年のW杯でジダンのいないフランスと対戦し、延長戦にまで持ち込んだもののローラン・ブランにゴールデンゴールを許した悔しさを晴らすには、日本のような国との対戦はいい機会だと思っていることだろう。
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# by akira-takeuchi | 2010-06-26 23:41 | サッカー