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インビクタス/負けざる者たち

今年サッカーのW杯を開催する南アの元大統領・ネルソンマンデラと、1995年に南アでラグビーのW杯が開催された時の主将・ピーナールの話が映画になったと聞いて、メンズデーに仕事を休んで見に行ってきた。当時のラグビーW杯をリアルタイムで知る者として、十分に楽しませてもらった。

マンデラとピーナールだけでなく、ストランスキーやチェスターウィリアムス、ロムーやマーテンスまで登場し、実物によく似ていておもしろかった。正直なところ、よくこれだけ似た俳優を集めることができたものだと思う。ただ、私のお気に入りだったマイケルライナーやロバートアンドリューはいなかったけどね。しかもロケでは、ニューランズとエリスパークを使用していた。エリスパークの決勝戦で試合開始前のセレモニーが映されたときに、ゴッドディフェンドニュージーランドが演奏されていたのには驚いた。

作品には当時の南アという国の社会や政治について知らないと理解できない部分がいくつかあった。プレゼントされたスプリングボックスのレプリカを黒人の子どもが受け取らなかったシーンと、マンデラが大統領に就任して黒人の警備員が護衛の増員を要求したところ白人の警備員が割り当てられたシーンには、一人のサッカーファンとして考えさせられるところが大きかった。そして本当かどうかは知らないのだが、ラグビーの南ア代表チームのユニフォームと愛称、色をすべて変える話がスポーツ評議会でまとまっていたのだが、マンデラ大統領の一存で残すことに決定したのには驚いた。

グランドが映し出されるシーンが多かったのだが、やはりエリスパークの芝生は欧州のそれよりも堅そうで、空気も乾燥しているように見受けられた。ヨハネスブルクは標高1700メートルくらいの高地にあるので、キックしたボールがよく飛びよく弾んだ印象が今でも残っている。そして決勝戦の決勝点となったストンラスキーのドロップゴールは、日差しが少し傾いた夕暮れの中で決まったことを覚えているな。白昼のシーンではなかったと記憶している私にとって、少し違和感があった。まぁ・・・、南アが夏の季節にロケをしたら、太陽が高い位置にならざるを得ないのだけどね。

個人的には、この大会で記憶に残っているのが南アvフランスの準決勝、イングランドv豪州の準々決勝なので、これらの試合が出てくればもっとおもしろかったと思う。ちなみにこの大会で私が一番印象に残ったプレーは、イングランドv豪州の試合でアンドリューが決めた決勝のドロップゴールである。ラインアウトからモールで押し込み、SHが素早くボールを出してアンドリューがゴールを狙う。すべて練習していた通りのサインプレーだった。

ややマニアックな話になってしまって恐縮だが、今年のW杯においてかの国で試合をおこなうサッカーの日本代表も、現地が酸素が薄くてボールがよく飛ぶ高地であることと、ボールがやや弾むやや堅いグランドであることを味方につけなければ、とても勝利を望むことは難しいと思う。しかも3試合のうちの2試合目では海抜0メートルの地で試合をおこなわなければならず、高度順応は人類史上でも類を見ないほど困難な命題であると言えよう。
by akira-takeuchi | 2010-03-03 00:14 | コンサート・絵画ほか
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